採用選考で、応募者のマネジメント能力に向き合う

① マネジメント適性の低いマネジメント職経験者を中途採用してしまう採用ミスを繰り返してきた。職歴や実績からではその人のマネジメント適性を知ることができず困っている。

人を採用しようとする会社が最も知りたいことは、その人の「入社後」です。採用関係者には「それまで」のことを知らない応募者の「これから」を知ろうとする努力が求められるわけですが、そんなニーズを満たしてくれるのが、「過去の行動特性を凝縮して露出させ、未来の行動を予測する」というアセスメントセンターの機能です。アセスメントセンターを使う当社のマネジメント能力発掘アセスメントは、もちろん採用アセスメントとしても威力を発揮します。そのしくみの中で応募者の行動を観察すると、応募者のそれまでの生き様が浮かび上がり、入社後の働きぶりが手に取るようにわかります。もちろん、マネジメント適性の低い課長経験者がいくら職務経歴書や採用面接で「課長の実績」をアピールしても、これまで課長の仕事をしてこなかったことがすぐばれてしまいます。

 

② 新卒採用では、自分の頭で考え自分で動くことのできる思考力の高い人材を採用したいのだが、学歴の高い人を採用しても、入社後に「言われたことしかできない」人物だったことがわかって、がっかりすることが多い。

マネジメント能力発掘アセスメントを採用選考に使う際の評価基準はマネジメント能力に絞られますが、それは新卒採用においても同様です。マネジメント能力は思考力に集約されるので、採用選考では思考力の見極めが重要なテーマとなりますが、美しい表出を取り繕う「思考しない学力秀才」が溢れる中で本物の思考人を見極めるのは簡単なことではありません。しかし、学力的情報処理力に左右されがちな応募者のアウトプット(発言内容や書かれたもの)よりも、思考力に起因する「行動」に着目する私たちのアセスメントは、心に汗をかいて自分の頭で考え自分の力で動こうとする「静かな逸材」に、確実に光を当てます。

 

③ 中途採用した人が入社後にモンスター社員と化してしまい、その人への対応や離職時のトラブルなどで大変な思いをしたことがあるので、それ以降、人を採用するのが怖くなってしまった。問題行動を起こすリスクの高い人を、採用選考の時に見抜くことはできないものだろうか?

採用選考の目的は良い人材を確保することですが、それと同じくらい重要なもうひとつのテーマが、リスクマネジメントです。「著しい規律違反」「パワハラ」「反会社的な言動」などの問題行動を繰り返すような人を採用してしまうと、管理職や経営者の心がストレスに蝕まれることをも含めた経営的損失は計り知れません。「会社を守るために採用時のセキュリティーを厳格にしなければ」と思ってはみても、応募者の誰もが自分の闇の部分を隠して善良性や健全性をアピールする採用選考の場で問題児の片鱗を感じとることは、一般的に難しいと思います。前述のような問題行動は、その人の精神的自立が確立されていないことによって引き起こされますが、人の心の奥底を覗くことは容易ではありません。しかし当社のマネジメント能力発掘アセスメントには、精神的に自立しない人によく見られる無意識的な行動(自己防衛行動や自己充足行動)を炙り出す機能があるので、応募者をアセスメントする私たちの目には、精神的に自立せず心が不安定な状況にある人がはっきりと浮かび上がります。採用アセスメントによって、モンスター社員と化す可能性の高い人を確実に見抜けることは、私たちの採用支援の歴史が語っています。私たちが採用アセスメントの内製化を支援した顧客各社様がモンスターの侵入を許したことは、過去に一度もありません。

管理職の登用に向けて、社員のマネジメント能力に向き合う

① 等級制度の中で「壁」を作りたい等級(管理職に昇進する権利を得る等級)に昇格させる際には、対象者のマネジメント能力を突き詰めて審査するようにしたいのだが…

わが国には、実務者として成果を上げたり評価が高かったりした社員を、安心して管理職に昇進させてしまう企業文化があります。管理職は実務職と違って未知のマネジメント領域で動くことが役割として求められ、経験知をそのまま持ち込めない場面でも自分の頭で考え自分の力で取り組みの方針や方向性を決めていくことが強く求められますが、世の中にはその力量に欠け上級実務者に留まっている管理職が少なくありません。実務者として成功していた人の中には、マネジメント能力をも駆使して生産的な仕事を積み上げてきた人もいれば、状況や運に恵まれ経験知の運用だけでそれらしくやってきた人もいます。その人たちを一緒くたに昇進させてしまったのでは、マネジメントとは無縁のプレイングマネージャーばかりが増えてしまうのも必然的な結果と言えるでしょう。実務職からマネジメント職に社員を昇進させようとする際には、他の要件をとりあえず視点から外してその人のマネジメント能力に徹底的に向き合う機会を作ることが必要です。そして極端にマネジメント能力に欠け「この人に部下をつけると部下が潰れてしまう可能性が大きい」と判断された人については、その人がどんなに優れた実務遂行者であったとしても、登用を見送る勇気を持つことが会社と社員を守ることに繋がります。「マネジメント職に登用しようとする前に、その人のマネジメント能力に向き合う」という当たり前の概念を人事制度に落とし込むことは、極めて合理的な取り組みであり、今後更に厳しい環境に晒されるであろう日本企業にとって避けて通れない道なのではないでしょうか。当社のマネジメント能力発掘アセスメントは、マネジメント能力を評価基準とするフルアセスメントセンターの精度を維持しつつ贅肉を削ぎ落して3時間で完結させるので、昇進や昇格の審査プロセスに組み込みやすく、審査型アセスメントとも称されています。対象1名につき88,000円(税込み)と、コストパフォーマンスも抜群なので、費用対効果が高く導入障壁は低いと思われます。

 

② 今の管理職が、全般的にマネジメントの主体者としてあまり機能していないような気がする。管理職全員のマネジメント適性にあらためて向き合い、大切な仕事や部下を任せてよい管理職なのか、あるいはそうではないのか、各管理職の可能性と限界を知っておきたい。

会社が初めて社員を管理職に登用する時からアセスメントセンターでの審査が実施され、必要最低限のアセスメント適性が担保された人だけを管理職に昇進させてきたような会社があればそれが理想形ですが、それは現実的な話ではありません。あまり深く考えず気楽に管理職を作ってきてしまったり、諸事情で実務能力優先の人事をしなくてはならなかった過去があったりで、多かれ少なかれマネジメント能力に欠ける管理職が混在している組織が一般的だと思います。そんな状況だからこそ、各管理職が持つマネジメント能力のレベルを会社が知っておくことは極めて重要だと思います。当社のマネジメント能力発掘アセスメントは、各管理職の能力的なキャパシティ(「やればできること」と「どうしてもできないこと」)を明らかにするので、「能力と課業のミスマッチ」を生まないミッションを経営陣から各管理職に提示することが可能になります。特に「部下を持ってはいけない人」であることが明らかになった管理職に対しては、「部下を持たない管理職」への担当替えが検討されることも珍しくありません。若年離職者の潜在的退職理由の圧倒的第一位が、「直属の上司が嫌だから」です。貴重な若手社員を潰している、あるいはそのリスクが高いことが判明した管理職に毅然とした対応を取る会社が増えてきたことは、喜ばしいことだと思います。

 

③ 当社には、管理職が務まる人間などいないように思えてしまうのだが、もしかしたら私が見えていないだけなのかもしれない。入社年次の浅い若手社員も含めて、潜在能力の持ち主が社内にいるのかどうかを知りたい。

当社のマネジメント能力発掘アセスメントは、「経験知だけは豊富」「口が達者」「アピールが上手」「声が大きい」などの武器が通用しない環境下で被験者の行動を分析するので、本当のマネジメント能力に光を当てることができます。「社歴が浅い」「現場作業しか経験が無い」「無口で地味」などの理由で今までノーマークだった逸材が被験者の中に存在した場合は、ほぼ間違いなく発見できます。日常業務の中での実務者の行動は、必ずしもその人のマネジメント適性を映しません。人の中の奥深いところに潜在するマネジメント能力を浮かび上がらせるためには、アセスメントセンターのような機会設定が必要です。「うちには管理職が務まる人間なんかいないよ」と言いながら、早期登用へのわずかな望みを当社のマネジメント能力発掘アセスメントに託した社長さんが「静かな逸材」の出現に驚かれ歓喜されたケースは、枚挙にいとまがありません。