╂ 処方箋の解説 ❺ ┛ パワハラの原因

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会社のパワハラ体質を何とかしたい

会社の「パワハラ体質」を何とかしたいのですが、どんな手を打てばよいでしょうか。

パワハラの大半は「心の弱さ」に起因するので、パワハラ研修の効果は限定的です。

 

 

 

 

パワハラの原因は「心の弱さ」

マネジメント能力に欠ける人の問題行動の中で最もリスクの大きいものの一つがパワハラ(パワーハラスメント)です。「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または、職場環境を悪化させる行為」と定義されるパワハラは、確実に部下を潰す、ある意味犯罪的行為ですが、人をパワハラという行動に走らせるものは、多くの場合、単なる悪意ではなくその人の心の弱さです。主体的な意思を持ってパワハラに舵を切るというより、パワハラをしなくてはならない状況に本人が追い込まれていることが多いので、パワハラを繰り返していた人が他人の指導や教育によって簡単に変容するとは考えにくく、しばらくはそのような行動を控えたとしても早晩再発します。したがって、パワハラという問題から会社を守る手段があるとすれば、「パワハラを行う素養のある人をマネジメント職に就けない」ことへの注力を最大限高めることに尽きるのです。

 

パワハラに走る管理職の典型的パターン(自己防衛行動)

自分を強く大きく賢く見せたくて、ずっと虚勢を張り無理をして生きてきたが、管理職に任命されてからは、「部下に舐められてはいけない」「弱みを見せてはいけない」という気持ちが更に強くなった。マネジメント領域において自分で動ける自信が無く、いつも不安で仕方がない。そんな自分の弱さや未熟さを人から覗かれることへの恐怖感が強く、部下と対する時には反論されたり議論になったりする余地を消すべく、高圧的な態度をとってしまったり、部下に反論されると感情的になったりしてしまう。

 

精神的に自立しない人は、自分で自分を受け入れておらず、自分自身への信頼感を持ちません。自分に自信が無いのです。一方、自分を強く大きく賢く見せることへの執着は強く、他人からどうみられるかが気になって仕方ありません。そのような人は、承認欲求が人一倍強く、承認を失うことを極端に恐れ、承認が維持されている状態をいつも守ろうとしているので、自分の領域に他者が近づくことを嫌います。他者が介入することで自分の弱さが露呈することを何よりも恐れているからです。

 

そうならないように自分の周りに防護柵を築き、そこに近づこうとする人を強い圧力の伴う言動や態度で追い払おうとする行動を、私たちは自己防衛行動と称しています。自己防衛の意識が強化されると、パワハラにつきものの次のような行動群が顔を出します

「虚勢を張って偉そうな態度をとる」

「横柄な物言いに終始する」

「必要以上に声を張り上げる」

「極端に多弁になる」

「畳みかけるように話し相手に話す間を与えない」

「逆上する」

 

さらに、精神的に自立しない人は例外なく依存体質の持ち主なので、自分の力で戦うことを放棄し、ポジションパワーを最大限に借りて、相手を支配しようとします。そこでパワハラの要件が揃ってしまいます。

 

「怒鳴る人は気が小さい」とよく言いますが、本当です。心が弱くて不安定な管理職の自己防衛行動が、パワハラに直結します。ただ、このタイプの人は露骨に部下の排斥を図る確信犯なので、その一連の行動は経営陣や周囲の目にも届きやすく、コンプライアンス意識の高い健全な組織であれば遅かれ早かれ何らかの手が打たれることが多いようです。自分の心を保つためにいつも不安と恐怖に追い回されているのでは、ご本人も大変だと思います。もちろん関わる部下はもっと大変です。管理職などに就くこと無く、承認欲求が満たされる場所があれば一番いいのですけれど。

 

精神的に自立しない人(心が弱い人)がパワハラに走る

精神的に自立しない人の心は脆弱で、常に落ち着かず不安定です。心が落ち着かないと、向き合うべき対象にしっかり向き合うことができず、マネジメント能力の二大要件である「思考力」と「人のために動く力」を活性化させることができません。つまり、精神的自立性は、マネジメント能力である「思考力」と「人のために動く力」の前提として存在するものなのです。

 

精神的に自立しない人が未知のマネジメント領域で動こうとすると、自己防衛行動や依存行動に走らざるを得ず、それらの行動がパワハラを産み出してしまいます。精神的に自立しない人、即ちマネジメント能力に欠ける人をマネジメント職に置いてしまうと、機能不全に陥るだけでなく、組織を揺るがし社員を潰す大問題の種を蒔いてしまうことになるのです。

 

パワハラという問題から会社を守るための最善の策は、精神的に自立しない社員を、マネジメント職に昇進させないことです。そもそもそのような社員は実務職に身を置く中でも数々の問題行動を発散してきたはずです。そんな人が管理職候補に挙がってくること自体が問題で、経営陣の人を観る目が問われます。

 

 

チェックリスト> 精神的に自立しない管理職の行動 

✓ 部下に対して高圧的な態度をとる

✓ 畳みかけるようにまくしたてる

✓ 部下の反論には感情的になる

✓ 部下に会社の悪口を言う

✓ 上司やクライアントへの過剰な愛想笑いや相槌が目につく

✓ クライアントへの敬語が過剰で聞きづらい

✓ クライアントへの大げさな挨拶がわざとらしい

✓ 前置きや言い訳が多い

✓ いつも忙しそうで部下が声をかけづらい

✓ 表情が開放感に乏しい

✓ 部下を不当に差別する

✓ いつも自分のことだけ延々と話す

✓ 人間としての部下に興味を持たない

✓ 自分を褒めてくれる相手だけを好む

✓ よく部下との約束を忘れる

✓ よく部下からの依頼を忘れる

✓ 部下に言うことがころころ変わる

✓ 部下への感謝の気持ちを持たない

✓ 非常時でもルーティンを重視し融通が利かない

✓ 仕事の段取りが狂うことを異常に嫌う

✓ 部下の指導はマニュアルの反復に終始する

✓ 挨拶や言葉遣いが型どおりで感情が乗らない

✓ 上から目線で部下に経験や知識を振りかざす

 

※ ✓が多い管理職ほど、精神的に自立していない可能性が大です

※ このチェックリストの無断転載を断りします。

東京の世田谷に生まれ(昭和35年)鎌倉に育ちながら、高校卒業後に関西へ流れ、大学卒業時には立派な関西弁を話せるまでに成長する。大学で体育会ラグビー部に足を踏み入れるも、タックルが出来なくて干され、徹夜のバイトが監督にばれて干され、と、「なんちゃってラガー」への道をまっしぐら。4年生でやっと公式戦への出場がかない、初出場の日の前夜は、ジャージーを抱いて泣きながら寝た。卒業後に入った商社で、早速、語学難民となり、「このまま日本に置いておいてもこいつは英語を覚えない」と当時の事業部長に判断されて、入社後1年も経たないうちに香港の現地法人に飛ばされる。現地の英国人達とプレーする中でようやく面白くなり始めたラグビーの合間に仕事も少しだけ頑張る、という充実の日々を送り、バブルもはじけた平成2年の春に5年間の任期を終えて帰国。その後、いわゆる大企業の海外部門を転々とするが、会社と仕事が肌に合わず、日に日に心が萎んだ。ついに重度の抑うつ状態にまで陥ってしまったが、そこに至ってようやく「自分の強みは本当に『国際』『語学』なのか?」「本当に自分の良さを活かせる仕事は何なのか?」というテーマに、正面から向き合うことになる。「世間からの評価」への執着を断ち切り、自分の価値観に正直になって新たなフィールドを選んでからは、心の元気を取り戻し今に至る。37歳の時に入社した人事系のコンサルティング会社でアセスメントセンターに出会って惚れ込み、これを生涯の仕事とすることを決意。39歳の時に今の会社を設立した。歳をとっても痛くて苦しいことが大好きな「変なおじさんたち」が集う中年ラグビーチーム(不惑倶楽部)に所属していたが、50を前にして捻挫をこじらせ距骨壊死というややこしい状態に陥って離脱。10年間手術を公言し続けるも諸事情で実現せず「切る切る詐欺」と揶揄されてきたが、還暦を直前に控えた2019年の暮れに突如人口距骨への部品交換を決行した。「これでラグビーもゴルフもばっちりだぜ!」と、元々の技量と加齢という現実を忘れて妄想中。

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