╂ 処方箋の解説 ➊ ┛ 優秀な社員がいない             

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零細企業なので優秀な社員がいません。仕方が無いとは思うのですが。

 

大きい会社よりも優秀な社員を持つことが、小規模企業を経営する上での前提になります。

               

 

 

 

「優秀な社員」の意味

 零細企業に本当に優秀な社員がいないのなら、それは大問題です。「仕方が無い」で済む話ではありません。

 

一般的に、生産性の高い社員が優秀な社員と称されます。生産性とは、その人が仕事の場で新たに生み出す価値のことです。「その人がいなかった時よりいる時の方が仕事の場で(給料分以上の)良いことが生まれれば、その人に生産性が認められる」ということです。会社の規模を問わず、高い生産性は「未知の場面でも自分の頭で考え自分で動ける人」のまわりで生まれます。経験知の範囲内でしか動けない人の生産性は、ぎりぎり給料分かそれ以下にしかなりません。未知の場面で情報を集めながら自分の進むべき方向を決めて自分で動くためには、思考力(概念化能力)という情報処理力が求められます。したがって、思考力という情報処理能力を有する事が、優秀な社員であるための絶対的な必要条件となります。

 

「規模を問わず」と書きはしましたが、自分の頭で考え自分で動く優秀な人を本当に必要とするのは、実は小さい会社です。膨大なしくみやマニュアルが社員をサポートしてくれる大企業と違い、小さい会社では、社員を守ってくれるものが概して十分ではありません。会社の経験知が少なく社員が頼れるものが限られるので、社員の前には常に未知の場面が広がります。自分の頭で考え自分で動かないと状況を打開できない局面が大企業よりもはるかに多いので、思考できない人がそこに関わると、大きな問題や深刻な機能不全が生じることになります。大企業であれば、思考力が不足しても、ある程度の学力があれば日々の作業くらいは何とかこなせますが、中小企業に思考力の欠如した人が入ると、その日から大問題になります。大企業と違って小さい会社は、給料分以下の生産性しか生まない社員を食べさせていける体力など備えていません。だから、小さい会社は生き延びるために何が何でも本当に優秀な社員を確保しなくてはいけないのです。

 

でも、創業間もない会社の経営者は、よくこんなことを口にします。「うちみたいな会社には、大企業みたいな優秀な人は必要ないけど」 論理が矛盾しています。小さい会社の経営者が「大企業には優秀な社員がいる」「うちには無理」と考える時、その人が優秀という言葉からイメージしているものは、多分学力だと思います。最近は少し変わってきたとはいえ、確かにわが国では大企業や有名企業から学力の高い人(偏差値の高い大学の学生及び卒業生)を確保できる構造が出来上がっていますので、「学力の高い社員を持つのは難しい」と考えるのは無理もないでしょう。わが国で生まれ育った経営者が、優秀という概念を学力(出身大学)と直結させてしまうのはある程度致し方ないところであります。でも小さい会社の経営者がそんな通念に縛られている限り、会社をブレイクスルーさせるのは難しいでしょう。

 

学力と思考力

受験勝者の武器である学力と、仕事人として優秀であることの絶対的必要条件である思考力とは、まったくの別物です。シンプルに言えば、学力は覚える力です。たくさんの情報をものすごいスピードで覚え記憶する必要に追われる職場であれば一定の威力を発揮しますが、知識をそのまま使えない未知の領域では無力化しかねません。一方、思考力は情報を集めて新たな情報を産み出す力であり、ゼロからイチを創り出す力です。経験や知識をそのまま使えない未知の場面で、情報を集めながら自分の進むべき方向を決めて自分で動くためには、この力が必要です。覚えたことを使うよりも現場において丸腰で初見の情報を処理する場面が多い小さい会社において、学力より思考力が求められるのは当然です。

 

学力の高い人は、「偏差値の高い大学の学生や卒業生」というわかりやすいグループの中に高密度で存在しますが、思考力の高い人が多く属するグループなどというものは存在しません。わが国では、「そうは言っても、学力が高ければ思考力もあるはずだよね」と信じてやまない人が、まだまだ多数派を占めます。最近は、「いい大学を出ても仕事ができるとは限らない」という論調が増えてきましたが、そう言っている人たちの心の中にも、多かれ少なかれ「そうは言っても」が残っているのではないでしょうか。しかし、学力と思考とは、しつこいようですが本当に別物です。学力の高い人を確保できてもその人が思考力を持っている保証は何もないので、小さい会社が学力を追い求める採用を頑張っても意味を持ちません。

 

高学力の人が属するグループを縁遠く感じる小さい会社の社長さんの前にも、思考力の高い本当に優秀な人と接触できる機会は無限に広がっています。一方、多くの方が想像する以上に、わが国の中で思考力の高い人が少ないという現実もあります。砂漠で砂金を探すような世界になってしまいますが、小さい会社にこそ思考する人が本当に必要であることがわかり、「大企業が優秀な人を独占している」という妄想が解けた以上、困難でもそこに向かって頑張るしかありません。まずは、社員や応募者への向き合い方を少しずつ変えるところから始めてみてはいかがでしょうか。

 

社員と応募者への向き合い方

まず、「優秀な社員がいない」と考える社長さんは、本当にそうなのか、もう一度社員個々の能力に向き合ってみて欲しいと思います。それまで「学歴の高い人が優秀である」という認識が強かったのだとしたら、その人の「優秀な社員がいない」という評価をあまり鵜呑みにすることはできません。仕事の場で学力の高い人が見せる行動と思考力の高い人が見せるそれとを比較すると、概ね前者の方が見栄えが良く、後者の方が地味なのですが、高学歴者への畏敬の念が強い人は、前者に強く惹かれがちな傾向があるからです。

 

そして、採用時の意識改革も必要となります。採用時に「言ったことをやってくれる人であれば」と考えて作業者を求めるか、「自分で考えて動ける人を」と考えて自立型の人を求めるかで、その会社のその後の成長曲線は大きく変わります。ハードルを下げて作業者を求めると、人を選ぶという意識が希薄になりなりがちで、その結果作業者としての機能も疑わしい人が増えてしまうことになります。もし「優秀な社員がいない」が本当だったとしても、選ぶことを怠ってきたのですから仕方ありません。

 

どんな役割を担う人を採用する場合でも、自分で考え自分で動ける人を求めるのが採用の王道です。思考する人の絶対数が少ないわが国なのでなかなか思うようにはいかないことも多いでしょうが、小さい会社が自分たちのやるべきことをやろうと腹に決めて応募者を妥協無く選ぼうとする姿勢を持ち続けることが、逸材獲得と組織強化への最低限の前提となります。いい人を採ろうとしなければ、いい人は絶対に採れません。会社が小さければ小さいほど、妥協なき採用姿勢を貫くことが、会社のステイクホルダーに対する経営者の責務になると考えます。

 

思考力の高い本当に優秀な人の具体的な見極め方については、この後このブログでできる限り伝えていきます。もちろんその方法論は、現状に危機感を抱く大企業の皆さんが求めるものでもあると信じています。

東京の世田谷に生まれ(昭和35年)鎌倉に育ちながら、高校卒業後に関西へ流れ、大学卒業時には立派な関西弁を話せるまでに成長する。大学で体育会ラグビー部に足を踏み入れるも、タックルが出来なくて干され、徹夜のバイトが監督にばれて干され、と、「なんちゃってラガー」への道をまっしぐら。4年生でやっと公式戦への出場がかない、初出場の日の前夜は、ジャージーを抱いて泣きながら寝た。卒業後に入った商社で、早速、語学難民となり、「このまま日本に置いておいてもこいつは英語を覚えない」と当時の事業部長に判断されて、入社後1年も経たないうちに香港の現地法人に飛ばされる。現地の英国人達とプレーする中でようやく面白くなり始めたラグビーの合間に仕事も少しだけ頑張る、という充実の日々を送り、バブルもはじけた平成2年の春に5年間の任期を終えて帰国。その後、いわゆる大企業の海外部門を転々とするが、会社と仕事が肌に合わず、日に日に心が萎んだ。ついに重度の抑うつ状態にまで陥ってしまったが、そこに至ってようやく「自分の強みは本当に『国際』『語学』なのか?」「本当に自分の良さを活かせる仕事は何なのか?」というテーマに、正面から向き合うことになる。「世間からの評価」への執着を断ち切り、自分の価値観に正直になって新たなフィールドを選んでからは、心の元気を取り戻し今に至る。37歳の時に入社した人事系のコンサルティング会社でアセスメントセンターに出会って惚れ込み、これを生涯の仕事とすることを決意。39歳の時に今の会社を設立した。歳をとっても痛くて苦しいことが大好きな「変なおじさんたち」が集う中年ラグビーチーム(不惑倶楽部)に所属していたが、50を前にして捻挫をこじらせ距骨壊死というややこしい状態に陥って離脱。10年間手術を公言し続けるも諸事情で実現せず「切る切る詐欺」と揶揄されてきたが、還暦を直前に控えた2019年の暮れに突如人口距骨への部品交換を決行した。「これでラグビーもゴルフもばっちりだぜ!」と、元々の技量と加齢という現実を忘れて妄想中。

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