派遣切りの背景【復刻版】-2009年1月6日公開-

派遣切りの背景【復刻版】-2009年1月6日公開-

連日、「派遣村」の報道が溢れている。そして、連呼される「派遣切り」というワード。

 

もうすっかり耳に慣れてしまった「派遣切り」だが、「派遣切り」とは何なのか、そこで何が起こっているのか、を、果たして世間がどれくらい理解しているのだろう?

 

 

 

派遣会社と派遣先企業との間には、「派遣契約」がある。多くの場合、その契約には、「何かあったら一ヶ月前に告知すれば契約を解除できますよ」という条項が含まれている。今回派遣切りを行なった会社のほどんどは、この条項を盾に取り、「契約に従って合法的に事を進めた」わけだ。

 

一方、その告知を受けた派遣会社が契約満了以前に派遣労働者との労働契約を解除すると、それは「解雇」となる。

 

つまり、「派遣切り」においては、派遣先企業の「契約解除」は「合法」であるのに対して、派遣会社の解雇は、突き詰めればほとんどの場合不当解雇となるはずで、「非合法」となってしまう。

 

今、この部分が 企業が派遣を使う大きな「メリット」のひとつになってしまっている。企業とすれば、「この解雇リスクを派遣会社にとってもらうために毎月高い金を払っている」という意識があるから、今回も「契約で定められた権利を行使して何がわるいのよ」てなもんだろう。そしてこの「不平等条約」がある以上、派遣会社は派遣先企業に、「せめて契約期間は満了してください。」とは言えない。

 

いざという時、派遣会社は「他の派遣先を探すなどして契約期間を雇いきる」か、「訴訟を起こされるのを覚悟で解雇する」か、を選ぶしかない。前者が難しいこのご時勢、多くの場合後者が選ばれる。

 

今回のような「仁義無き派遣切り」が横行する最大の原因は、「企業側が一ヶ月前に契約を解除できる権利を持っていること」であり、その背景にあるのが「このような不平等条約を飲まなければならないほどの派遣会社のアイデンティティーの低さ」と「おのれのリスクをヘッジするために『弱者』を徹底的に利用しようとする大企業の生理」であることは間違いない。

 

 

 

訴訟が起こされなければ「法令違反」が健全化しない不条理。

泣き寝入りする被害者が絶対多数になっていることで何となくバランスが取れている「解雇をめぐる現状」。

その現状を最大限利用して何とか安泰を保てる派遣会社。

日常の取引が、法令違反の絡むいびつな構造に立脚していてもお構いなしの大企業。

 

いろいろなものが重なり合って、それぞれの自己都合と甘えに満ちたグレーな世界が作られている。

 

 

 

「雇用契約を守る」という当たり前のことが派遣契約においてゆがめられる可能性を排除すること…

 

企業と派遣会社との関係の現状を鑑みると極めて難しいことではあるが、これが実現されない限り、派遣会社が大企業に食いつぶされて全滅するまで「派遣切り」は続く。

 

 

東京の世田谷に生まれ(昭和35年)鎌倉に育ちながら、高校卒業後に関西へ流れ、大学卒業時には立派な関西弁を話せるまでに成長する。大学で体育会ラグビー部に足を踏み入れるも、タックルが出来なくて干され、徹夜のバイトが監督にばれて干され、と、「なんちゃってラガー」への道をまっしぐら。4年生でやっと公式戦への出場がかない、初出場の日の前夜は、ジャージーを抱いて泣きながら寝た。卒業後に入った商社で、早速、語学難民となり、「このまま日本に置いておいてもこいつは英語を覚えない」と当時の事業部長に判断されて、入社後1年も経たないうちに香港の現地法人に飛ばされる。現地の英国人達とプレーする中でようやく面白くなり始めたラグビーの合間に仕事も少しだけ頑張る、という充実の日々を送り、バブルもはじけた平成2年の春に5年間の任期を終えて帰国。その後、いわゆる大企業の海外部門を転々とするが、会社と仕事が肌に合わず、日に日に心が萎んだ。ついに重度の抑うつ状態にまで陥ってしまったが、そこに至ってようやく「自分の強みは本当に『国際』『語学』なのか?」「本当に自分の良さを活かせる仕事は何なのか?」というテーマに、正面から向き合うことになる。「世間からの評価」への執着を断ち切り、自分の価値観に正直になって新たなフィールドを選んでからは、心の元気を取り戻し今に至る。37歳の時に入社した人事系のコンサルティング会社でアセスメントセンターに出会って惚れ込み、これを生涯の仕事とすることを決意。39歳の時に今の会社を設立した。歳をとっても痛くて苦しいことが大好きな「変なおじさんたち」が集う中年ラグビーチーム(不惑倶楽部)に所属していたが、50を前にして捻挫をこじらせ距骨壊死というややこしい状態に陥って離脱。10年間手術を公言し続けるも諸事情で実現せず「切る切る詐欺」と揶揄されてきたが、還暦を直前に控えた2019年の暮れに突如人口距骨への部品交換を決行した。「これでラグビーもゴルフもばっちりだぜ!」と、元々の技量と加齢という現実を忘れて妄想中。

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