今日もゴルフで心身ともにやつれ果て、コンビニの前に車を停めてぼーっとテレビを見ながらひとやすみしていた。「どうぶつ奇想天外」で盲導犬のドキュメンタリーをやっていた。
前に「クイール」とか観てダーダー泣かせていただいたし、とにかく僕は子供と動物ネタが出てくると製作者の思うツボにはまって涙腺が崩壊してしまうので、「盲導犬」はもういいや、と思った。が、チャンネルを変えるのもだるくてそのまま眺めていた。
今日の物語でも犬とパピーウォーカーとの別れがとりあげられていたのだが、いつもの話の流れと少し違って、主人公のメスのレトリバーが盲導犬訓練所で「盲導犬失格」となり、八ヶ月の訓練を経て盲導犬になりそこねた「彼女」がパピーウォーカーの許に帰ってくる… というストーリーだった。
犬の感情を殺す訓練をしてきた彼女が人が好きで仕方がない本来のレトリバーの心をどれだけ取り戻せるのか、あれだけ家族と愛し合った日々をどれだけ覚えているのか、という不安を抱えて、パピーウォーカー一家は彼女を待つ。
再会の日、みんなを見つけた彼女は、感情を抑える訓練してきた日々を一瞬にして超越したかのように感情を爆発させ、狂ったように尻尾を振って育ての親たちの中に飛び込んでいった。
僕は今日もまたしっかりと泣かせどころで泣かされたわけだが、彼女が八ヶ月間、自分のポテンシャルを超える教育を受けている時にどんな心情でいたのか思う時、感動というより心が痛んだ。
動物と人間との関わりについて、是々非々論ではなく色々なことを考えた時、前にメルマガに掲載したあるショートエッセイを思い出した。当社のある社員が書いたものだが、あちこちで読者の涙をしぼったらしい。
以下、全文を改めて紹介します。
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成田空港で麻薬犬を見ました。
麻薬犬いうと厳格に訓練されていて隙のない犬というイメージでしたが、群集から離れた関係者出口の近く、いわば「舞台裏」ともいえるところで、係員の人が持つ袋のようなものにしっぽをふりながらじゃれついているのが見えました。
感情を殺すように訓練された犬の「感情」がほとばしっている様子を目にして、なぜかほっとする気持ちになりました。
一年半前まで、実家でゴールデンレトリバーを飼っていました。
名前は「みつくに」 幼少の頃恵まれなかった犬ですが、人間不信になることなく、洋犬の明るさ、人懐っこさをそのまま残して、縁あって我が家にやってきました。
当時手足がとても細く十センチの段差も上がれないほどだったのに、田舎の散歩道を毎日毎日駆け回っていたら、手足のみならず体がどんどん巨大化していきました。
田んぼで草刈をしていたおばさんに何かの猛獣と間違えられ鎌をふりまわされたり、度を越えた人間好きで誰にでも飛びついて愛情を体一杯で表現するので、犬嫌いの郵便配達員が担当を変わってしまったり、いろいろな逸話を残してくれました。
何にも教えられず、たいしたしつけも受けず、機嫌が良ければ大暴れ、ふて腐れると大きな穴を掘り、いつも泥だらけでお世辞にも「上品な犬」ではなかったけれど、「みつくに」のまわりにいる家族はいつも幸せな気持ちでした。
最後は病気で壮絶な死を迎えることになりましたが、最期を看取る私に彼は自分の体が壊れて行く中で一度だけしっぽを振ってくれました。きっと彼も最後まで幸せだったと思います。
いつも本能のまま、いつも犬らしく生きられたから、「みつくに」はうちへ来て本当によかったんだと思います。