小さな会社の採用革命=50の新常識= ⑯ オンライン採用にも利点はある。

小さな会社の採用革命=50の新常識= ⑯ オンライン採用にも利点はある。

世の中に根付いたオンライン選考

新型コロナ騒ぎが長引く中で、「アフターコロナの常識がコロナ以前のそれに戻ることはない」との見方が支配的になりつつあります。オンライン化された新卒採用選考が完全に元に戻ることもないでしょう。安全性だけでなく効率性や利便性などの面でもメリットが認められるオンライン採用選考ですが、一方で、心ある経営者や人事関係者の皆さんからは、「オンラインでは応募者の本質が伝わってこない」という声も伝わってきます。これまで対面の採用面接で応募者からたくさんのことを感じ取ってこられた方ほど、抱かれる不安と不満が大きいのではないでしょうか。

 

言うまでもなく採用選考では、応募者が語る自己PRやエントリーシートに書かれた情報だけでなく、「応募者が無意識のうちに発する情報」を集めることが求められます。応募者の態度、雰囲気、表情、口調、行動特性、情報処理の特性、などです。実はこれらの情報こそが、その人の入社後の生産性やリスクに直結する重要な情報であり、応募者に真面目に向き合おうとする採用関係者は、応募者と対面しこれらの情報を一生懸命集めることで入社後の姿を予測しようとしてきました。

 

しかし、採用選考のオンライン化によって、これらの情報を得る機会が大幅に失われてしまうことになったのです。特にオンラインでは応募者が発する非言語情報が伝わりにくく、採用面接などで応募者の態度の変化や表情などから何かを読み取ろうと頑張ってきた人たちにとっては、かなり痛手が大きいのではないでしょうか。このように採用選考の現場で応募者から得られる情報が減ってしまうと、採用側は、応募者の内面をイメージする機会をほとんど持てないまま、自己申告された情報だけを頼りに選考を進めることを余儀なくされかねません。応募者の本質に触れることなく内定を出す採用は、「入社してみないとどんな人なのかわからない」という運任せの採用になってしまいます。これはリスクマネジメント上、とても大きな問題です。

 

コロナに翻弄された採用アセスメント

私たちの採用アセスメントも、コロナには随分と翻弄されました。街に少しずつ人が戻ってきたコロナ初年の初夏、各社でしばらく延期になっていた採用アセスメントが再開され、私たちは「マスクをした応募者をアセスメントする」という前代未聞のテーマと向き合うことになりました。アセッサーの仕事を始めてから二十数年になりますが、マスクをした人をアセスメントするのは初めてでした。表情の変化や顔の筋肉の動きなど、アセスメントではとても重要な情報が失われてしまい、最初の数回はかなり戸惑いました。

 

心に問題を抱える応募者がアセスメントの場に臨むと、自分が抱える弱さを隠そうとして防衛的になり、それが顔に出ます。そのような人の顔つきや表情の変化は、見る人に違和感や不快感を与えることが多いので、アセッサーは自分の感情にも正直になることでアセスメントの精度を維持することができます。ところがマスクありのアセスメントが始まると、アセッサーが応募者の表情から何らかの感情を抱く場面が極端に減ってしまいました。減った情報を補うために、私たちは社内アセッサーの皆さんにあるお願いをしました。社内アセッサーの育成にあたっては、言語情報より識別しやすい非言語情報を重点的に取り扱うように伝え続けてきましたが、その指導方針を変更し、応募者の発言内容にも少し向き合うようにお願いすることにしたのです。皆さんは戸惑いながらも、少し難しくなってしまったアセスメントに必死で取り組んでくれました。

 

その翌年、対面でのアセスメントを実施しにくい空気が世の中に流れ始めた頃、採用アセスメントをズームでの実施に切り替えるお客様がぽつぽつと現れました。オンラインでない採用選考を嫌う学生が増えてくるに至り、アセスメントが更に難しくなることを承知で茨の道に舵を切ったのでした。私たちも、そのような会社のアセスメントの精度が維持されるように、いろいろな形でサポートを行いました。オンラインの採用アセスメントにはやはり難しい点もたくさんあり、社内アセッサーの皆さんは苦労の連続だったと思います。しかしその中で、私たちは一つのことに気が付きました。オンラインのアセスメントでは、対面の時よりも言語情報をはるかにキャッチしやすいのです。

 

言語情報を浮かび上がらせるオンライン選考

通常のグループ討議では、発言の応酬によりそれぞれの発言内容がよく聞き取れないことがあります。声の小さい人の発言が空調の音にかき消されたり、マスクで誰がしゃべっているのかよくわからなかったり、個々の発言を正確にキャッチするにはいろいろ問題があるのです。それに対してオンラインでは、マイクがしっかりと音を拾ってくれる上に、パソコンが発言者を教えてくれるので、発言内容を識別する上ではとても助かります。折しも言語情報へのアプローチを強化している時だったこともあって、社内アセッサーの皆さんもその点では助けられたようでした。コロナ禍も三年目に入った今、採用アセスメントのオンライン化に挑戦した会社たちも徐々に通常の形に戻ってきています。しかし、ITの力を借りて応募者の言語情報に向き合った経験は、これからのアセスメントに生かされていくと思います。

 

「安全性や利便性は高いが応募者から得られる情報が減る」というのがオンライン選考への一般的評価ですが、実は「発した言葉の理解と分析が楽」という特性もあることがわかりました。これからもオンライン選考に取り組む採用関係者の皆さんは、ぜひこの「利点」を覚えておいてください。ただし、言語情報は取り扱いを間違えると正解とは真逆の結論を導いてしまうので、注意が必要です。このコラムには「トリセツ」が散りばめられていますので、ご参考にしてください。 

東京の世田谷に生まれ(昭和35年)鎌倉に育ちながら、高校卒業後に憧れの関西に移り住み、大学卒業時には立派な関西弁を話せるまでに成長する。大学で体育会ラグビー部に足を踏み入れるも、タックルが出来なくて干され、徹夜のバイトが監督にばれて干され、と、「なんちゃってラガー」への道をまっしぐら。4年生でやっと公式戦への出場がかない、初出場の日の前夜は、ジャージーを抱いて泣きながら寝た。 卒業後に入った商社で、早速、語学難民となり、「このまま日本に置いておいてもこいつは英語を覚えない」と当時の事業部長に判断されて、入社後1年も経たないうちに香港の現地法人に飛ばされる。現地の英国人達とプレーする中でようやく面白くなり始めたラグビーの合間に仕事も少しだけ頑張る、という充実の日々を送り、バブルもはじけた平成2年の春に5年間の任期を終えて帰国。 その後、いわゆる大企業の海外部門を転々とするが、会社と仕事が肌に合わず、日に日に心が萎んだ。ついに重度の抑うつ状態にまで陥ってしまったが、そこに至ってようやく「自分の強みは本当に『国際』『語学』なのか?」「本当に自分の良さを活かせる仕事は何なのか?」というテーマに、正面から向き合うことになる。「世間からの評価」への執着を断ち切り、自分の価値観に正直になって新たなフィールドを選んでからは、心の元気を取り戻し今に至る。 37歳の時に入社した人事系のコンサルティング会社でアセスメントセンターに出会って惚れ込み、これを生涯の仕事とすることを決意。39歳の時に今の会社を設立した。 歳をとっても痛くて苦しいことが大好きな「変なおじさんたち」が集う中年ラグビーチーム(不惑倶楽部)に所属していたが、50を前にして捻挫をこじらせ距骨壊死というややこしい状態に陥って離脱。10年間手術を公言し続けるも諸事情で実現せず「切る切る詐欺」と揶揄されてきたが、還暦を直前に控えた2019年の暮れに突如人口距骨への部品交換を決行した。「これで俺のラグビーとゴルフは変わる!」と、加齢という現実から目を逸らして盛り上がる。月イチで山へ芝刈りに行く日常は戻ったが、たくさん叩くのは足のせいではなかった・・・ことに薄々気づき始めた今日この頃。

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