小さな会社の採用革命=50の新常識= ③ 採用をもっと怖がらなくてはいけない。

小さな会社の採用革命=50の新常識= ③ 採用をもっと怖がらなくてはいけない。

リスクマネジメントが優先されにくい現状

採用は会社にとってのビッグイベントです。「こんな人が欲しい」「そんな人が入ってくれたら」という期待に心が浮き立つのも当然でしょう。しかし一方で、「採ってはいけない人を採ってしまったら…」という不安や恐怖を多少なりとも持ち合わせていないと、リスクマネジメントの意識が高まりません。採用に臨む経営者はこの相反する二つのスタンスを併せ持って折り合いをつけなくてはいけないのですが、現実的には前者が勝ってしまい後者を疎かにしてしまう経営者の方が圧倒的に多いと思います。

 

そうなってしまうのは、経営者の多くが「採用リスク」に向き合いきれていないからだと思います。採用リスクについての理解が足りないのです。人を採用しようとする経営者は、「採ってはいけない人」を採ってしまうとどんな怖いことが待っているのかを、きちんと知っておかなくてはいけません。そしてもう一つ、「選考母集団がリスクの高い人で溢れてしまっているという現状をほとんどの人が知らないから」という理由もあります。この事実に向き合い受け入れることで、嫌でもリスクマネジメントへの意識を高めなくてはならなくなります。

 

「採ってはいけない人」を採用するとどんなことが起こるのか

採用リスクとは、「入社後に機能不全になったり問題行動を連発したりする人を採用してしまうリスク」のことです。

 

機能不全とは、機能せず役に立たないという意味であり、仕事の場で見られる具体的な傾向例としては「指示が無いと動けない」「マニュアル通りにしか動けず、臨機応変に対応できない」「未知の場面や情報不足の状況下では、自力で状況を打開できない」などが挙げられます。このような人には仕事を安心して任せることができないので、時に周囲の人の手間とストレスを増大させ、生産性もプラスにはなりません。このような機能不全を招く原因となるのは思考力の欠如なので、採用選考で思考力の見極めへの注力を高めることが、リスクマネジメントの前提となります。

 

社員の機能不全は経営者にボディブローのようなストレスを与えますが、悪質な問題行動を連発する「モンスター社員」は、より破壊的なパワーを擁して会社に大きなダメージを与えます。モンスター社員は常識外れで自己中心的な主張や批判を繰り返し、経営陣や周囲の人たちを疲弊させます。周囲の人を悪い道に引きずりこむ扇動行為に精を出すことも多く、知らないうちに組織を黒く染めます。不当な労働問題を提起されたり、時には訴訟を起こされたりするリスクが付きまとうので、企業として本当に厄介な存在となります。そのようになってしまう人には「依存性」「劣等感」「不安感」「承認欲求」などが極めて強いという共通の特性があり、メンタルリスクも否定できません。思考しない人も困りますが、モンスター社員には会社を一つ吹っ飛ばしてしまうくらいの負のパワーがあります。そのリスクが匂う応募者を見極めることが全ての会社にとって最も優先すべきリスクマネジメントであり、そのためには採用側に応募者の精神的成熟度にアプローチする意識と技術が求められます。

 

選考母集団の九割がリスク有りという現実

ところで、いくらリスクをイメージできていたとしても、選考母集団の中にそのリスクを抱えている人がどのくらいいると考えるかによって、危機感のレベルが変わってきます。今、「世の中にモンスター候補などそんなにはいないはず」と考える経営者が多いとすれば、リスクマネジメントが緩むのも無理はないと思いますが、実際にはどうなのでしょうか。

 

私たちは、アセスメントセンターという手法を使った採用支援を生業としています。特殊な状況設定の中で課題に取り組む応募者の行動を観察し、その人の行動特性を炙り出して入社後の生産性を予測します。この十年は新卒採用支援の仕事が多く、毎年二千人前後の大学生をアセスメントしますが、その合格率が一割を超えることはありません。約九割の学生が思考力不足や精神的な未熟さが見られ、「入社後に機能不全になったり問題行動を連発したりする可能性を否定できない」と診断されます。顧客企業の規模や業種、大学のレベルなどに偏りはないので、年間二千人の選考母集団は、わが国全体の傾向を知るためのサンプルに十分なり得ると思っています。

 

もちろん、アセスメントでリスクが見えた人が必ず機能不全に陥ったりモンスター化したりするわけではありません。リスクには程度問題という側面もありますし、リスクが顕在化しやすいか否かは、入社した会社の成熟度によって変わってきたりもします。しかし、起こらないかもしれないことに備えるのがリスクマネジメントです。入社後に問題を起こす可能性を否定できない人が「九割」もいるというのは大変なことであり、真面目な経営者がその数字を知って受け入れたなら、必ずその数字に多少なりとも不安や恐怖を感じるはずです。しかし、その状態こそが、採用に臨む経営者のあるべき姿です。不安や恐怖無くして、リスクマネジメントに真剣になれるはずがないからです。

 

一般的に小さい会社の社員が持つリスク特性は、大企業におけるそれと比べて顕在化しやすいことがわかっています。「九割」の中の結構大きな部分が「使えない人」や「モンスター」になりかねないのですから、小さい会社の経営者には「九割」という数字により重みを感じ、採用を正しく怖がって欲しいと願っています。不安や恐怖と闘い苦しみながら最適化を目指して頭に汗をかくのが正しい採用の姿であり、そのような取り組みのご褒美として逸材とのご縁が生まれます。

 

お祭り気分で採用を楽しんでいると、必ず後で地獄を見ます。

東京の世田谷に生まれ(昭和35年)鎌倉に育ちながら、高校卒業後に憧れの関西に移り住み、大学卒業時には立派な関西弁を話せるまでに成長する。大学で体育会ラグビー部に足を踏み入れるも、タックルが出来なくて干され、徹夜のバイトが監督にばれて干され、と、「なんちゃってラガー」への道をまっしぐら。4年生でやっと公式戦への出場がかない、初出場の日の前夜は、ジャージーを抱いて泣きながら寝た。 卒業後に入った商社で、早速、語学難民となり、「このまま日本に置いておいてもこいつは英語を覚えない」と当時の事業部長に判断されて、入社後1年も経たないうちに香港の現地法人に飛ばされる。現地の英国人達とプレーする中でようやく面白くなり始めたラグビーの合間に仕事も少しだけ頑張る、という充実の日々を送り、バブルもはじけた平成2年の春に5年間の任期を終えて帰国。 その後、いわゆる大企業の海外部門を転々とするが、会社と仕事が肌に合わず、日に日に心が萎んだ。ついに重度の抑うつ状態にまで陥ってしまったが、そこに至ってようやく「自分の強みは本当に『国際』『語学』なのか?」「本当に自分の良さを活かせる仕事は何なのか?」というテーマに、正面から向き合うことになる。「世間からの評価」への執着を断ち切り、自分の価値観に正直になって新たなフィールドを選んでからは、心の元気を取り戻し今に至る。 37歳の時に入社した人事系のコンサルティング会社でアセスメントセンターに出会って惚れ込み、これを生涯の仕事とすることを決意。39歳の時に今の会社を設立した。 歳をとっても痛くて苦しいことが大好きな「変なおじさんたち」が集う中年ラグビーチーム(不惑倶楽部)に所属していたが、50を前にして捻挫をこじらせ距骨壊死というややこしい状態に陥って離脱。10年間手術を公言し続けるも諸事情で実現せず「切る切る詐欺」と揶揄されてきたが、還暦を直前に控えた2019年の暮れに突如人口距骨への部品交換を決行した。「これで俺のラグビーとゴルフは変わる!」と、加齢という現実から目を逸らして盛り上がる。月イチで山へ芝刈りに行く日常は戻ったが、たくさん叩くのは足のせいではなかった・・・ことに薄々気づき始めた今日この頃。

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