小さな会社の採用革命=50の新常識= ㉗ 面接で応募者に経験や知識を語らせても、あまり意味は無い。

小さな会社の採用革命=50の新常識= ㉗ 面接で応募者に経験や知識を語らせても、あまり意味は無い。

採用面接で最も重要なこと

採用面接の面接官になった時、応募者の何を見て何を知ろうとしていますか。私は何よりも「違和感」を大事にして欲しいと思います。「なんか嫌な感じだな」「なんか好きになれないな」というような感覚です。前述のように、応募者に向き合った時に得られる「感覚」は、その人から得られた言語情報や行動情報が処理された結果なので、違和感には必ず根拠があります。その違和感の原因となった行動が、その人の心の弱さや好ましくない価値観に起因する可能性もあるので、その違和感は採否を最終的に決める時まで、心の中に留め置いて欲しいと思います。

 

その感覚を得る感性は人によって差があります。あまり応募者の言動から違和感を抱いたことがない経営者や採用関係者もいらっしゃるでしょう。そんな方々のために、「こんな応募者には違和感を抱いて欲しい」という例をいくつか挙げてみます。

 

・試験官の顔をまっすぐに見ることができない応募者

・ぼそぼそしゃべる応募者

・可笑しくもないのに不自然な愛想笑いを挟む応募者

・言動が極めて堅苦しく、型にはまった立ち居振る舞いに終始する応募者

・面接官が何を言おうが関係無く、常に不自然で顕示的な相槌や頷きを繰り返す応募者

・「個人的には」「あくまでも私見ですが」などの前置きが多い応募者

・話が長くなりがちで、何を言っているのかわからなくなる時がある応募者

・少し自分に酔った感じで、気持ちよさそうに滔々と持論を述べる応募者

・あまり緊張感を見せず、涼しい表情で淡々と振る舞い、熱量の高まりが感じられない応募者

・言動に締りが無く、緩くてだらしない印象を与える応募者

・質問者が「そういうことを聞いたのではないのだが」と感じるような答えを連発する応募者

 

リスクマネジメント

ほんの一例ではありますが、一般的に採用面接で面接官に違和感を抱かせるのは、こんな応募者です。このような人たちは、精神的な弱さや熱量不足などの問題を抱えている可能性があり、おそらく思考力にも期待できません。面接でこんな応募者と出会ったら、その情報を揉み消してしまうことなく、採否の意思決定の材料として残しておくことをお薦めします。「なんか粗探しみたいで嫌だな」「もっと前向きな気持ちで応募者と向き合いたい」と感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、採用選考で応募者に向き合う際に最も重要なことは、その人が入社後に健全な組織人でいてくれるかどうかを見極めることであり、そのためには、まず問題行動や機能不全に繋がるリスクある行動を徹底的につぶしていかなくてはいけません。それが見つからなければ、その人が組織で大過なく動ける素養の持ち主である可能性が高まるわけですが、その人の入社後に楽しく思いを巡らすのは、それからでも遅くはありません。

 

期待を漲らせて応募者の良いところを探しにいくような採用選考は、採用ミスのリスクに溢れます。応募者のリスクを探そうとする時、採用側の視線は応募者の無意識な行動に向きますが、応募者の魅力ある言動を追いかけようとする視線は、応募者が採用側に見せることを意識した行動やアウトプットに奪われてしまうからです。特に応募者の意識的なアウトプット(話したこと)は、時に知的優位性の香りを漂わせながら、採用側を惑わせることになるのです。応募者が見せようとしている行動の多くは、その人の本質を映しません。したがって、採用選考で応募者の発言内容からその人を高く評価することは禁忌となります。採用アセスメントでも、リスク行動の一部として発言内容を精査することはあっても、高評価に繋げることは固く禁止されています。したがって採用面接では、応募者の発言内容に目を眩ませられることのないよう、冷静にリスクマネジメントの意識を高めて応募者と向き合うことが強く求められます。

 

応募者の語る経験や知識

最近、採用面接で応募者にたくさん話をさせることにこだわる経営者や採用関係者が増えてきました。もちろん、自分ばかりがしゃべり続けるような面接よりはずっとましだと思います。行動情報をより多く集めるために応募者の発信機会を増やそうとしているのであれば、それは理にかなった試みでしょう。しかし、中には、応募者がここぞとばかりに発信する経験や知識の内容を評価して悦に入っている面接官も少なくないようです。内定を出したいと決めている学生から情報を得ようとしている段階であるなら別ですが、人物の見極めを目的としているのであれば、そんな面接では応募者の本質に触れることなどできるはずがありません。

 

応募者が語る経験がたとえ真実であっても、そしてそれがどんなに輝かしく見えるものであっても、その経験を得ることにその人の能力のどの部分がどれくらい関与したのかは不明です。経験が素晴らしいからと言って、今のその人の価値や生産性が担保されるわけではありません。経験から得た知識も、それが生きるか否かはその人の仕事力次第であり、その仕事力が不明である限りその知識が価値を生むか否かも不明です。そもそも知識を積み増すのに使われるのは学力的情報処理能力であり、知識の質量から小さい会社が求めるべき思考力を推察することはできません。

 

採用面接では、応募者が語る経験や知識を聴き取ろうとする意識を薄め、それを話している応募者の表情や所作に視線をシフトしてみてください。きっと感性のアンテナが伸びて、違和感を抱くことができる場面が劇的に増えると思います。

東京の世田谷に生まれ(昭和35年)鎌倉に育ちながら、高校卒業後に憧れの関西に移り住み、大学卒業時には立派な関西弁を話せるまでに成長する。大学で体育会ラグビー部に足を踏み入れるも、タックルが出来なくて干され、徹夜のバイトが監督にばれて干され、と、「なんちゃってラガー」への道をまっしぐら。4年生でやっと公式戦への出場がかない、初出場の日の前夜は、ジャージーを抱いて泣きながら寝た。 卒業後に入った商社で、早速、語学難民となり、「このまま日本に置いておいてもこいつは英語を覚えない」と当時の事業部長に判断されて、入社後1年も経たないうちに香港の現地法人に飛ばされる。現地の英国人達とプレーする中でようやく面白くなり始めたラグビーの合間に仕事も少しだけ頑張る、という充実の日々を送り、バブルもはじけた平成2年の春に5年間の任期を終えて帰国。 その後、いわゆる大企業の海外部門を転々とするが、会社と仕事が肌に合わず、日に日に心が萎んだ。ついに重度の抑うつ状態にまで陥ってしまったが、そこに至ってようやく「自分の強みは本当に『国際』『語学』なのか?」「本当に自分の良さを活かせる仕事は何なのか?」というテーマに、正面から向き合うことになる。「世間からの評価」への執着を断ち切り、自分の価値観に正直になって新たなフィールドを選んでからは、心の元気を取り戻し今に至る。 37歳の時に入社した人事系のコンサルティング会社でアセスメントセンターに出会って惚れ込み、これを生涯の仕事とすることを決意。39歳の時に今の会社を設立した。 歳をとっても痛くて苦しいことが大好きな「変なおじさんたち」が集う中年ラグビーチーム(不惑倶楽部)に所属していたが、50を前にして捻挫をこじらせ距骨壊死というややこしい状態に陥って離脱。10年間手術を公言し続けるも諸事情で実現せず「切る切る詐欺」と揶揄されてきたが、還暦を直前に控えた2019年の暮れに突如人口距骨への部品交換を決行した。「これで俺のラグビーとゴルフは変わる!」と、加齢という現実から目を逸らして盛り上がる。月イチで山へ芝刈りに行く日常は戻ったが、たくさん叩くのは足のせいではなかった・・・ことに薄々気づき始めた今日この頃。

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