お昼過ぎに名古屋から大阪に移動。
僕の第二の故郷、大阪であるが、夜まで仕事が入っている今回は誰と会う約束もしていない。仕事を終えてまずとりあえず梅田へ。何も考えずとも足は「松葉総本店」へと向かう。阪急梅田駅の新梅田食道街にある串揚げ屋さんだ。
大阪で串揚げというと「新世界」なのだが、なかなか行きにくい場所なので、串揚げを食べたい時はだいたいここへ来る。ここ数年は、まず大阪に来た挨拶がわりにここの暖簾をくぐることが多い。
いつもカウンターの前には老若男女が溢れかえっていて、皆口角泡を飛ばしながらしゃべり、そして酒をあおっている。飲んでしゃべる大阪人の集団… これは結構怖い。が、ここ大阪では気合で負けては旨いものが食えないので、体を半身にしてカウンター前の群集に割り込む。
ようやく自分の場所をキープして、生ビールを注文。ここは「通し揚げ」ではなく、カウンター前のケースに各種串揚げが無造作に放り込まれている。それを勝手に取って食べる。値段によって串の長さが違い、後から店のおっちゃんがそれを計算してお勘定、という具合だ。
「ソースの二度付け禁止」は、慣れないうちは緊張した。半分かじったものにもう一度ソースをつけたくなる流れを止めるのは、強い「認識の力」が必要である。
独自のしくみやしきたりをまわりの関西人たちのように何食わぬ顔でこなそうとするうちに、昔、大阪の住人として生きていた頃の生活感が少しずつ蘇って来る。
甘くて軽い衣の後味に後ろ髪を引かれながら今日は早めに「おあいそ」 串揚げ五本と生ビールで、合わせて千円かからない。それでも大阪では「立ち食い串揚げ屋としては少し高い店」という位置付けだという。
大阪入りの「儀式」を済ませ、お腹を少し落ち着かせた僕は、今日の夕食処を探しに阪急東通へ向かった。