介錯【復刻版】-2008年4月7日公開-

介錯【復刻版】-2008年4月7日公開-

今日もゴルフの練習場に行った。お世話になっているゴルフの先生が来る日だ。もちろんつきっきりではないが、毎週月曜日にはそこに常駐していて、常連たちを順番に教えてくれる。冬季はお休みで、今日が再開の日だ。

 

 

 

昨日は某極安コースでラウンドした。そこは安い+難しい+面白いのお気に入りコースで、今年二回目だ。入りの三ホールはパープレーで、「七十台でまわってしまったらどーしよおおお…」とマジで思ったが、一瞬でもゴルフを舐めたばちがあたり、終わってみたらお約束のようにいつものスコアだった。

 

あの三ホールの集中力を六倍も維持しなければならんのか、と考えるとめまいがする。道は遠い。

 

 

 

というわけで、今日も真面目にいそいそとゴルフのお勉強にでかけました。

 

いつものように、先生から新しい気づきをもらい、昨日崩れた理由も体系的に理解できて、練習のテーマがまた増えた。でも、冬の間、週に二回、四百球を打ち込み、山梨まで行って寒さに凍えながらラウンドした甲斐があってか、久しぶりのレッスンで少し生まれ変わった姿を先生に見せることができ、初めて褒められた。

 

 

 

できの悪かった生徒が少しだけ優等生に変容したのに気をよくしたのか、いつもは時間が来ると早々と帰ってしまう先生が、残っていろいろな話をしてくれた。この先生は昔ツアープロだった方で、今はゴルフ用品店を経営しながらレッスンやトーナメントの競技委員などを精力的にこなす「ゴルフの伝道師」である。

 

トーナメントで自分がプレーした体験談や有名選手の裏話など興味深い話が次々と飛び出し、いすにも座らずクラブを握ったままのゴルフ談義は長時間に及んだ。

 

先生の所属していたクラブの後輩にあたる某有名プロのユニークなキャラクターも語られ、その人の逸話でも盛り上がったが、先生がふと漏らした「あいつが入ってきて奴のスイングと打球を見た時、俺は第一線から退くことを決めたんだよね」の一言は、おもしろおかしかった時間を少しの間止めてしまうほど素敵だった。

 

「これからはこういう奴の時代だと思ったよ」

 

上背もなく絶対的パワーで劣る先生が苦労と試行錯誤を重ねてきた時間が一瞬で精算された、という話なのにこんなにさわやかな感じがするのは、「絶対的に力のある奴が必ず勝つ」というプロの世界の潔い合理性ゆえんだろう。「刀できれいにスパッと切られると痛みを感じない」というが、そんな感じだったのだろうか。

 

その後輩プロは、今トッププロの一人としてトーナメントで活躍している。きっとたくさんの人に引導を渡してきたのであろう選ばれし者は、その人たちのためにも勝ち続ける使命を負っているはずだ。

 

 

 

プロはプロを知る。高いレベルで理解しあう凄さへの憧れからか、先生が僕の中で尊敬すべき「美しき敗者」になった。

 

 

東京の世田谷に生まれ(昭和35年)鎌倉に育ちながら、高校卒業後に関西へ流れ、大学卒業時には立派な関西弁を話せるまでに成長する。大学で体育会ラグビー部に足を踏み入れるも、タックルが出来なくて干され、徹夜のバイトが監督にばれて干され、と、「なんちゃってラガー」への道をまっしぐら。4年生でやっと公式戦への出場がかない、初出場の日の前夜は、ジャージーを抱いて泣きながら寝た。卒業後に入った商社で、早速、語学難民となり、「このまま日本に置いておいてもこいつは英語を覚えない」と当時の事業部長に判断されて、入社後1年も経たないうちに香港の現地法人に飛ばされる。現地の英国人達とプレーする中でようやく面白くなり始めたラグビーの合間に仕事も少しだけ頑張る、という充実の日々を送り、バブルもはじけた平成2年の春に5年間の任期を終えて帰国。その後、いわゆる大企業の海外部門を転々とするが、会社と仕事が肌に合わず、日に日に心が萎んだ。ついに重度の抑うつ状態にまで陥ってしまったが、そこに至ってようやく「自分の強みは本当に『国際』『語学』なのか?」「本当に自分の良さを活かせる仕事は何なのか?」というテーマに、正面から向き合うことになる。「世間からの評価」への執着を断ち切り、自分の価値観に正直になって新たなフィールドを選んでからは、心の元気を取り戻し今に至る。37歳の時に入社した人事系のコンサルティング会社でアセスメントセンターに出会って惚れ込み、これを生涯の仕事とすることを決意。39歳の時に今の会社を設立した。歳をとっても痛くて苦しいことが大好きな「変なおじさんたち」が集う中年ラグビーチーム(不惑倶楽部)に所属していたが、50を前にして捻挫をこじらせ距骨壊死というややこしい状態に陥って離脱。10年間手術を公言し続けるも諸事情で実現せず「切る切る詐欺」と揶揄されてきたが、還暦を直前に控えた2019年の暮れに突如人口距骨への部品交換を決行した。「これでラグビーもゴルフもばっちりだぜ!」と、元々の技量と加齢という現実を忘れて妄想中。

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